語林講座 四字熟語編  
 
          文・樋口千夏      
     
もどる 费尽心机

 まず「心机」という語に注目です。普通、以下のように使われます。

    他很有心机。/ 彼は気が利く。

 日本語でも「心機一転」という言葉がよく使われますね。この心機は「気持ち」という意味ですが、中国語の心機は、「心」よりも「機(しかけ・はたらき)」に意味の中心が置かれているという違いがあります。よってこの言葉、「心機を尽くす」→「考えを尽くす・知恵を絞る」という意味です。

実際、どのように使われるのか見てみましょう。

    家长费尽心机送子上名校。  
      /保護者があらゆる手段を尽くして子供を有名校に入れる。

   儿子费尽心机,骗尽老母家财。
      /息子が悪知恵を働かせて母の財産を全部騙し取った。

    不要费尽心机了!
      /考え過ぎるな。

考えるのは考えないよりもずっといいことだと普通は思いますよね。
でも、考え尽くす→何事も過ぎるのは悪いこと→考えてはよくないと中国の人は考えるので、この言葉はマイナスの感情を帯びているのです。

  「」には、「费劲(骨を折る)」「白费(無駄に)」というように、しなくてもいい方法が他にあるのにむだに手間がかかってしまったというようなニュアンスがあります。
  
  もっと端的に「白费心机」「枉费心机 」(むだに心労する)という言い方もあります。