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ー把ー
◆◇目的語を動詞の前に持ってくる「把」
だれかにテレビを付けてもらいたい時、何といいますか?
請 打開 電視。 /テレビをつけてください。
中国語は、日本語と違って、目的語は動詞の後に来ます。
この点について、みなさんはもう慣れているかと思います。
ところが、目的語を動詞の前に持ってくる場合もあります。
請 把電視 打開。
「把〜」は「〜を」の役割を果たしています。
次のように言うことができます。
請 把イ尓的書 給我。 /あなたの本を私にください。
我 已経 把它 給王先生 了。/私はもうその本を王さんにあげました。
請イ尓 把它 拿過来。/それを持ってきてください。
◆◇特定か否かー「把」を使う前提
「把〜」を使うには、「〜」に当たる部分が「特定な人・もの」でなければな りません。
「特定な人・もの」とは、世の中に唯一存在している、具体的な人・ものの ことです。どういうことなのかお話しましょう。
お昼休みに同僚とレストランに行きました。
席に案内されて注文する前に店員さんに水を持ってくるようお願いします。
請給我 一杯水。(水を一杯ください。)
この場合、「一杯水」とは、何でもいいからとにかく水がほしいという意味です。
店員さんが水を持ってきましたが、テーブルのあなたの届かないところに置きました。
今度は水の近くの席に座っている同僚に頼みます。
請把那杯水 給我。(その水をください。)
このときの水は、具体的で特定の水です。
もう一度、下の例文で考えてみてください。
a)請給我一張報紙。/新聞をください。
b)請把那張報紙給我。/あの新聞をください。
両者の違いはどこにありますか?
aは、「(何でもいいが、とにかく)新聞をください」
bは、「(相手が見えている)あの新聞をください。」
要するに、
1)数字が入っている場合は、特定していない可能性が大きい。
2)「這」「那」または「我的」「イ尓的」「王先生的」などそのものを限定する語がある
(例:這杯茶・那個人・我的包・イ尓的母親・王先生的妻子)と、それは「特定なもの・ひと」である。
問題は、1)と2)のどちらにも当てはまらない例です。たとえば、
a)「車を買いたいです。」
b)(車庫から車を出してもらいたいとき)「車を出してください。」
aとbの場合、車は特定か不特定か、どちらだと思いますか?
形式からは判断できませんので、聴き手は文脈に頼って判断するほかありません。
その点を考えてちょっと翻訳してみてください。
aは間違いなく不特定な「車」ですね。
bの場合、「車」と言われて、「だれの車?」と聞き返す人はまずいません。
脳裏で「うちの車」と理解していますよね。
ですから、bに出てくる「車」は特定な車です。
a)我想買車。
b)把車開過来。
◆◇動詞は「裸」であってはいけない。
「裸の動詞」とは、私の作った言葉ですが、たとえば、「念課文」(テキストを 読む)の場合、「念」(よむ)のような、回数・時間・物など なにも付いてない動詞を指しています。
「把」を使って「念課文」を言い換えてみましょう。
この場合、「把課文念」とは言いません。
「把課文念一下」と言います。
つまり、「把〜動詞+補足する言葉」となります。たとえば、
「動詞+補語」
請イ尓 把它 拿上去。 /これを上へ持っていてください。
「動詞+数量」 「動詞+了」
我 把這篇文章 念了三次了。/この文章を三回も読みました。
ものの名前が分からないときは「把它」で間に合います。
以下の例文をしっかり暗記すれば、とても役に立つと思います。
把它給我。/それをください。
把它拿給我。/それを私のところへ持ってきてください。
把它拿過来。/それをこちらへ持ってきてください
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