語林講座 キーワードで勉強する中国語 
          文・林 松涛      
     

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          ー在、給ー


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一、前置詞(介詞)と動詞の関係
 
 今回キーワードとなる5つの言葉の動詞としての意味をまず確認しましょう。
 
   [いる、ある] 我在东京。/私は東京にいます。
   
   [あげる] 他給了我一本书。/彼は私に本を一冊くれました。
 
   [従う] 簡体字は[从]です。

   [到着する、着く] 新宿到了。/新宿に着きました。
   
   [従う、つく] 跟着我。/私について来て。
 
 
 以上の漢字が、前置詞として使われる場合には、やや違う意味になります。

 「給」を例として説明しましょう。
 
  他 给我 买了一本书。/彼は私に本を一冊買ってくれた。
 
 この文の骨格となるのは、 他买了一本书。(彼は一冊の本を買った) 「給我」は「私のために」という意味です。
 
 この例から、これらの言葉が前置詞なのか、それとも動詞なのか、どのように判断するかがわかります:
 
 1)他に動詞や形容詞がない場合、この言葉は動詞になります。

 2)他に動詞や形容詞がある場合、この言葉は前置詞になります。
 
 では、具体的に見ていきましょう。 
            

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二、在(に、で)

 まず例文を見てください。
 
  我 在家 看电视。 /私は家でテレビを見る。 
  他 在哪里 工作?/彼はどこで働いているの?/どこに勤めているの?
 
 「在」一字だけに注目するのではなく、「在家(家で)」「在哪里(どこで)」を一つのユニットとして覚えた方が良さそうです。文法用語としては、このユニットは「前置詞フレーズ」と呼んでいます。

 このユニットは、さきほどの例文ではそれぞれ「看」「工作」という動詞の前に置かれていましたが、動詞の後ろに持っていくこともできます。
 
  他 住 在哪里? /彼はどこに住んでいますか。
  放 在 哪里?  /どこに置きますか。
 
 では、動詞の前後に置かれるユニットの意味は、それぞれどう違うのでしょうか。訳としては、8割は次のルールに従います:

  動詞の前におく場合は、「どこで」と訳します。
  動詞の後ろにおく場合は、「どこに」と訳します。
 
  簡単に言いますと、「で」は動作の場を示し「に」は存在の場を示します。

  また、中国語の「時間順に沿って話を進める」習慣があります。前置詞フレーズの置き場所を理解すると、正しい語順(前後関係)で話せるようになります。

  我 在家 看电视。 /私は家でテレビを見ます。
  まず「私」は、「家に居ます」。そして「テレビを見る」ことができます。
  
  放 在 哪里? /どこに置きますか。

  まず「置く」ためにある物を手に取りました(動作)。そしてその物をある場所に置きます(存在)。

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三、給

 「給」は「○○のために」という意味だとすでに述べました。
 
 「ために」ではなく、「○○に」として覚えた方が使い勝手が良いです。

 たとえば
 
  明天 我 给他 打 电话。/明日、彼に電話を掛けます。
  给我 看看。/ちょっと見せて。
 
 詳しく言いますと、前置詞「給」には二つの意味があります。

 1)対象を示す  
 2)○○のために
 
 次の例文も2通りの解釈(翻訳)ができます。

 明天 我 给他 打 电话。

 1)明日、彼に電話を掛けます。「彼」は動作の対象です。
 2)明日、彼のかわりに電話を掛けます。
   (何らかの理由で、明日彼は電話を掛けられない)
 
 コンテキスト(文脈)が分からないと、意味を確定することができません。
 
 ここで1)と2)を分けたのは、次のことを説明するためです。

 1)の場合、「給○」ユニットを動詞の後ろに持っていくことができます。
    明天 我  打 电话 给他。

 2)の場合、「給○」ユニットを動詞の後ろに持っていくことができません。
   つまり、「明天 我 打电话 给他。」は、「明日、彼に電話を掛けます」だけの意味です。
 
 ここでは細かく説明しましたが、初心者の方は、とりあえず「給○」は「○に」と覚えてくださいね。