樋口 |
いったいどのくらい勉強すれば
中国語ができるようになるのか気になります。
入門者はどんなふうに勉強を進めていくのでしょうか?
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林 |
まず基本的な文法構造を身につけられるように、
1年目の基礎課程では毎回1つの文法現象を説明し、
中国語の構造を身につけてもらいます。
そうすると中検4~3級レベルに到達します。
その後は会話を通して自分が習った構造を復習・肉付けしながら、
表現を豊かにしていきます。 |
樋口 |
つまり、最初の一年間は、文法を習うのですね。
いつから会話の練習をするのですか。 |
林 |
半年くらいで会話しはじめて、
1年くらいでたどたどしくはありますが中国語で会話するようになります。
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樋口 |
そんな短期間に、ですか? |
林 |
伝統的な語学教育の考え方は、「文法」を習い、「本文」を覚え、それから「練習」の一環として会話をします。
私の考え方は違います。
言葉の根本は話すこと、つまり音声にあると思います。
とくに日本人にとって中国語の文章を読めるようになるのは、それほど難しいことではありません。
難しいのは、話すことです。
コミュニケーションの場で、言葉がすぐに出てくるこそ、自分の身についたと言えますよね。
だったら、「文法」つまり「話すときのルール」を分かりやすく説明してから、すぐ応用の段階に入ります。つまり「会話」ですね。
もちろん、文法(=ルール)とは、頭でわかっても体の一部分になかなかなれないものです。
たとえば、野球を打つ場合、正確に打てるために、練習するのみですね。
それに、「会話」を通して、自分の間違いに気づくことができます。
野球でいうと、うまくいかないと、自分のフォームに問題がないかと考えると同じことです。実践しないと気づかないものですよね。
まず、この教室でままごとみたいに話して、だんだん慣れていきます。最後は文法用語などを忘れて、話した=目的達成なのですから。 |
樋口 |
話すのは先生対一人の生徒の会話ですか?話していない人たちは……? |
林 |
ひとり5分の1ずつではありません。
一人が話したら他の人に必ず質問してもらいます。
そうすると他の人が話している間もムダだと感じません。
ときどき、「マンツーマンは、4人クラスより4倍話せます」という広告をみますが、
うそっぽいですね。ほんとうは、自分から話せなくて、先生の話ばかり聞いていたのではないかなと思いますよ。
もっと重要なのは、他人に対して興味をもちますし、話す人も他の人が興味をもちそうな話題を選びます。たくさん話すことによって、皆さんとても仲がいいです。 |
樋口 |
レベルのばらつきはないですか? |
林 |
最終的に、クラス全員が同じように進歩することができると断言できます。
私は、ほとんどテキストを使わないし、予習も必須な条件ではありません、
その代わりに教室で話すことを考えてもらいます。
1つの文法を教えるときにできる人(理解が早い人)に複雑な質問をし、できない人(理解の遅い人)に簡単な質問をするということはあります。
人のできる・できないは絶対的な問題ではないのです。
ある人は発音が得意で聞いてすぐにわかります。
また論理的な理解が早い人は文法が得意ですし、単語が得意な人もいます。
発音のマスターに時間がかかったけれど克服した途端に上達が速くなった人もいますし、文法が苦手だったけれど会話できるようになってぐんと伸びた人もいます。
長い目で見れば皆、同じなのです。 |
樋口 |
同じクラスの人たちとずっといっしょに勉強していくのですか? |
林 |
実は、レベルの差ができたとき、クラス分けをしようとしたことがあります。
しかし生徒さんたちが嫌がりました。
仲がいいので進歩が遅い人を嫌いだという人はいません。むしろ励まします。
そんなふうに4~5年くらいずっといっしょに勉強している人たちは多いですね。
よくそんなに毎週話すことがあるなあと思いますよ(笑)。
仲のいいクラスではみんなで北京やニューヨークに行っています(先生はいっしょではない)。
結婚した人たちもいます(先生は男性生徒の中国赴任の送別会まで知らなかった)。
それに振替制度があるので、自分の所属している曜日に来られなかったら
同じレベルの別の曜日に来ることもできます。
それもまた生徒さんにとって新鮮みたいですね。 |
樋口 |
4、5年ですか、長いですね。 楽しくないと続きませんね。
どんなことを話すのでしょうか? |
林 |
旅行の話・芸術の話・華流スターの話・恋愛の話・上司の陰口・
仕事の愚痴・日常のこと、それからなぜか私の教室ではお墓の話、鬼の話もよく出ます(笑)。
中国のことでなくヨーロッパ旅行の話をする人もいますし、
社会人が多いゆえに普段は聞けない面白い業界の話が聞けたりもします。
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